肌のターンオーバー

ターンオーバーとは

まずは、皮膚の構造とメカニズム、表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層から成り立っています。

表皮は外的刺激から体を守る働きをしています。

真皮はコラーゲン繊維やエラスチンなどから構成され、表皮を支えています。

皮下組織は脂肪などを蓄え、外からの力や刺激から体を守るクッションの役を果たしています。

表皮は下から「基底層」「有棘層」「顆粒層」「角層」の4層構造になっており、

表皮細胞は一番下の基底層で産生されます。

新しく作られた細胞は形を変えながら、徐々に表面に押し上げられ、やがて垢となって剥がれ落ちます。

この表皮の新陳代謝していく営みをターンオーバーと呼びます。

私たちの肌では、常にターンオーバーが繰り返されて、細胞が生まれ変わっています。

そのおかげで、肌は美しさを保つことができ、外刺激から体を守る重要な働きを果たすことができるのです。

ターンオーバーの周期

このターンオーバーの周期は部位により異なりますが、およそ28日程度と考えられています。

皮膚の厚さや血行などが関係しており、顔はほかの部位より早く、一般的に理想は28日。

基底層から顆粒層までが14日、角質細胞となって剥がれ落ちるまで14日が目安となっています。

ほかの部位、例えば踵などは遅く、顔の肌の約2~3倍かかるとも言われています。

ターンオーバーの周期は遅すぎても、早すぎてもよくありません。

遅くなるということは新陳代謝が悪くなるということ。いつまでも古い角質が肌に残ることで、

角層がひび割れや厚くなる「角質肥厚」を起こします。

一方、早すぎる場合は、肌細胞が未熟なまま上に押し上げられ、正常な角化が行われないことがあります。

結果、正常な角化が行われず天然保湿因子や角質間細胞間脂質などの保湿因子も十分に作られない、

水分保持力がない乾燥肌や外刺激に弱い敏感肌になってしまいます。

年齢によるターンオーバーの違い

ターンオーバーの周期は年齢を重ねるにつれて遅くなります。

個人差もありますが、40代になると40日以上かかるといわれています。

シミが目立ちやすくなったり、肌の傷の治りが遅くなるのは、ターンオーバーの周期が遅くなるためです。

なお、ターンオーバーの遅れによる角質肥厚は、肌の乾燥、くすみなどの肌トラブルにつながります。

つまり美肌のためには、年齢を重ねても、できるだけターンオーバーの周期を遅らせずに、正常に働かせることが大切です。

表皮と真皮でのターンオーバーの違い

美しく健康的な肌を維持するためのスキンケアは、表皮だけでなく、真皮も含めて考える必要があります。

真皮はコラーゲン繊維やエラスチンなどで構成され、肌のハリや弾力を保ち、

毛細血管により皮膚の隅々まで栄養分と酸素を届ける働きをしています。

真皮も新陳代謝により生まれ変わりますが、

表皮の厚さは0.2㎜に対して真皮の厚さは1.8㎜もあるため、新陳代謝の周期は表皮よりもずっと長く、3~5年かかると言われています。

なお、真皮の働きが弱まると、肌のハリや弾力がなくなり、シワやたるみや毛穴の開きが目立ってきます。

栄養分の供給も十分にできなくなれば、肌は衰えていくことになります。

一旦、深いシワやたるみや開き毛穴が出来てしまうと、なかなか改善や修復するのが難しくなるのが現状です。


ターンオーバーが乱れる原因
 

肌細胞は、常に生まれ変わっています。この肌の生まれ変わりの仕組みを「ターンオーバー」と呼びます。

美しい肌を保つためには、ターンオーバーが正常に行われることがとても重要です。

しかし、加齢や生活の乱れ、間違ったスキンケアなどによってターンオーバーの周期が乱れることがあります。

・間違ったスキンケアによるターンオーバーの乱れ

不十分な洗顔です。メイクがきちんと落とし切れていないと、その小さな積み重ねが原因で、

本来剥がれるべき角質細胞が肌にとどまり、角質肥厚を起こすことがあります。

また、タオルでゴシゴシ擦るのもよくありません。摩擦の刺激により、防衛力を高めようと角質を強化しようと肥厚していきます。

一方で刺激の強い洗浄成分やピーリング剤により角質を必要以上にとってしまうと、

そこを修復しようとターンオーバーを早めてしまう可能性があります。

・紫外線によるターンオーバーの乱れ

強いUVBに当たると、肌が赤くなるサンバーン(軽い火傷状態)を起こします。

また、たとえ日常の弱いUVAであっても、長期に渡って浴び続けることで、

真皮のハリや弾力に関わる線維芽細胞が損傷されていきます。

こうした肌へのダメージもターンオーバーを乱す大きな原因です。

細胞がダメージを受けると、修復しようとしてターンオーバーを早めてしまいます。

そして、紫外線から肌を守るために角質を厚くしてしまいます。

なお、紫外線により生成されたメラニンは、本来はターンオーバーとともに排出されますが、

ターンオーバーが乱れて表皮に留まると、メラニン色素がシミとなって沈着してしまいます。

・精神的ストレスによるターンオーバーの乱れ

過度な精神的ストレスもターンオーバーを乱す原因になります。

ストレスは、血管収縮による肌の栄養不足や、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れを引き起こし

肌のスムーズな新陳代謝を阻害してしまいます。

・生活習慣によるターンオーバーの乱れ

睡眠は脳や体の安息だけでなく、皮膚や内臓の修復タイムでもあります。

肌のターンオーバーに欠かせない、成長ホルモンが分泌されるのも睡眠中です。

つまり睡眠不足は、ターンオーバーを乱す元凶です。

また、栄養バランスのいい食事はターンオーバーを整えるためには必須です。

特に皮膚の元になるたんぱく質を摂らないと、

肌の不調を引き起こします。

また、たんぱく質を上手に吸収するためのビタミンやミネラルも必要です。

肉、魚、乳製品、卵などと、野菜や海草、キノコ類などをバランスよく摂取することが大切です。

喫煙や過度な飲酒も、血液循環や代謝機能に影響を与えることで、

ターンオーバーの乱れにつながり、肌荒れや老化肌を促進する一大原因です。

・加齢によるターンオーバーの乱れ

加齢によりターンオーバーは遅れていきます。それはある程度はしかたないことですが、生活習慣を改めることで、少しでも正常化に導くことができます。

コメントを残す